改正減価償却制度−法人と個人の相違点 

  • 2007.08.24 Friday
  • 12:42
今までの解説は「法人税」に関するものと断ってきましたが、
法人(税)と個人事業者(所得税)について、それほど差異があるわけではありません。
この点、改正後も変わっていませんが、
法人の減価償却は任意(任意償却)ですが、個人事業者の場合には強制(強制償却)されます。

どういうことかと申しますと、
法人の場合は、税法で償却限度額が決まっています。
ですので、償却限度額を超えない限りいくらでもよいことになります。しなわち、法人において減価償却をするかしないかは経営者の判断によることになっています。
なお、償却限度額を超えて償却することも可能です。その場合には、法人税申告書の別表で調整して、税法的には正しい所得を計算することになります。

法人税法第31条

 内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第22条第3項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。

他方、個人事業者の場合には減価償却は強制されます。すなわち、償却限度額の100%を計上しなければなりません。

所得税法第49条

 居住者のその年12月31日において有する減価償却資産につきその償却費として第37条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日及びその種類の区分に応じ政令で定める償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。
2 前項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。

出かけなければならないので、とりあえずここまで。
続きは今夜!
(3日まで忙しいです)

改正減価償却制度−法人税◆

  • 2007.08.17 Friday
  • 21:36
先日の続きです。

○3月31日以前に取得し利用中の資産に4月1日以後に資本的支出を行った場合

原則は、
Aという資産にBという資本的支出を行った場合、
Aについては従来の償却方法(旧法)で償却していき、
Bについては新しく取得したものとして別個に償却(新法)していく。
ということは前回説明しました。

「一緒にしちゃっていいよ!」という特例は以下のとおりです。

上の例で表現すれば、
Aという資産にBという資本的支出を行った場合、
Aの取得価額にBという資本的支出を加算し、
A+B全体を、従来の償却方法(旧法)で償却していく。
こともできる、ということです。

ただし、A+B全体に対していったん減価償却を行いますと、
翌事業年度以降において、その加算した資本的支出Bを新たな資産の取得として(新)償却方法により償却することはできないことになっています。

当たり前といえば当たり前のことですよね。
一度合算して償却を始めた以上、分割して償却するな、と言っているわけですから。
税理士としてもそんな面倒なことはご勘弁願いたいです。

上の特例(「特例1」とします。)は、
平成19年3月31日以前に取得した既存の減価償却資産に資本的支出を行った場合、でした。
で、当然に、19年4月1日以降に取得した減価償却資産に資本的支出を行う場合も考えられます。

特例2
○定率法を採用している既存の減価償却資産に資本的支出を行った場合

ここでいう定率法とは当然に定率法のことです。前提が19年4月1日以降に取得した減価償却資産となっていますので。

これは、既存資産、資本的支出のいずれも定率法を採用していることが前提となります。
この場合、資本的支出を行った事業年度の翌事業年度開始のときに、その時点の既存資産の帳簿価額と資本的支出の帳簿価額とを合算して、
その合算額を取得価額とする減価償却試算を新たに取得したものとできる、という特例です。

例えば、事業年度が5/1〜4/30とした場合に、
19年8月17日に資産Aを購入し、同年11月25日に資産Aに対して資本的支出B
を行った場合、
20年5月1日にA、Bそれぞれの簿価を合算して、それ以降A+Bを一まとめの資産として償却していくことができる、
ということです。

ただし、翌事業年度においてA+B全体に対していったん減価償却を行いますと、
翌々事業年度以降において、その加算した資本的支出Bを新たな資産の取得としてAとBを別々に償却することができないことは、特例1と同じです。

今日はここまで。
明日は特例3からいきます。


改正減価償却制度−総論、法人税 

  • 2007.08.14 Tuesday
  • 20:06
だいぶ間が開きました。
アクセス解析を見ますと、相変わらず改正減価償却制度に関する検索が多いですね。
企業や個人事業の経理担当の方の検索でしょうか。

まず、呼び方について。
平成19年3月31日以前に取得された減価償却資産については、先述したように従前の減価償却方法が適用されます。
要するに以前のまんま、中身は変わりませんが、呼び方が変わります。
「定額法」→「定額法」
「定率法」→「定率法」
頭に「旧」が付くだけのことです。

これを受けて、
平成19年4月1日以後に取得された減価償却資産については、
新たな「定額法」
新たな「定率法」
要するに「定額法」、「定率法」と呼ぶことになります。
                   
以下はこの呼び方で行きます。
ただ、定額法、定率法の区分に関係なく新旧の減価償却方法を区別する必要があるときは「旧法」、「新法」と表記します。

最初は法人税から。
なお、税理士等のプロではなく一般企業または一般事業所の経理担当の方を前提にする関係上、法令等の指摘は省略いたします。

で、最初に疑問が生ずるのが、
法人において
19年3月31日以前に購入して、事業の用に供したのが4月1日以後の場合はどうするんだ? ということ。

○3月31日以前に購入し4月1日以後に使い始めた場合

この場合は、事業の用に供した日(要するに使い始めた日)にその減価償却資産を取得したとみなして新たな「減価償却方法」を適用することになります。

○3月31日以前に取得し利用中の資産に4月1日以後に資本的支出を行った場合

ここで資本的支出というのは、
単なる修繕ではなくて、その支出により固定資産の使用可能期間が延びたり資産の価値が増加する場合の支出のことです。

この場合、その資本的支出については、その支出の対象となった資産と同じ種類、同じ耐用年数の資産を新しく取得したものとして、減価償却していくことになります。
そして、資本的支出の対象となった既存の資産については、
その後も従前の(現に採用されている)償却方法で償却していきます。

Aという資産にBという資本的支出を行った場合、
Aについては従来の償却方法(旧法)で償却していき、
Bについては新しく取得したものとして別個に償却(新法)していくということです。

ただし、「一緒にしちゃっていいよ!」という特例があります。

次回へ続きます(集中してやるつもりです)。




改正減価償却制度◆歔輜澄

  • 2007.07.31 Tuesday
  • 17:16
今日は、個人事業者、法人関係なく、改正された減価償却制度のポイントをご紹介します。

内容は、昨年12月18日付けブログ「平成19年度税制改正大綱−減価償却制度の抜本的改正−」でご紹介したものと変わりがありません。
「税制改革大綱」は国会で審議され、ほとんどそのままの形で法制化される、と以前ご指摘したとおりの結果となりました。

税制改正大綱における減価償却制度の改正の柱としてご紹介しました、
1「償却可能限度額」(取得価額の95%)の廃止
2「250%定率法」の導入(「残存価額」の廃止)
はそのまま実現しています。
すなわち、

1.平成19年4月1日以後に事業の用に供された(事業のために使用が始まった、ということです)減価償却資産については、
償却可能限度額(従来は取得価額の95%)」及び「残存価額(法定の見積処分額のこと、5%)」が廃止されまして、「1円備忘価額といいます)」まで償却することが可能になりました。

2.「250%定率法」が導入されました。
定率法で減価償却を行っている場合、
ある事業年度に算定された減価償却費が「償却保証額(取得価額×保証率)」(この用語は税制改正大綱ではまだ使われていなかったと思います)より小さくなったときには、
その年度以降の減価償却費は「改定取得価額×償却率」で1円まで償却できることになりました。
(事例は、とりあえず昨年12月18日付け記事をご参照ください。)

3.平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については(税制改正大綱では不明だった点です)、
償却可能限度額まで償却したあと、その翌事業年度から5年間(60ヶ月)で1円まで償却できることになりました。

ポイントはコレだけです。
わりとシンプルで理解しやすいかと思います。ただし、細かいところでいろいろありますのでそこらは次回以降に。

ところで、過去、EXCELで減価償却計算のソフトを作成し利用されている方も多くいらっしゃったかと思います。
今回の改正点を考慮したソフトを、まあ、関数を組み合わせたりマクロを使って作成できないこともないでしょうが、作成する時間コストを考えたら市販のソフトを利用された方がよいかもしれません。
少なくとも私だったらそうしますね(もともとちゃんとしたソフト使っています、念のため)。
だって、面倒そうだし、間違ったら目も当てられませんから。

では次回また。

改正減価償却制度…次回から

  • 2007.07.17 Tuesday
  • 21:18
アクセス解析で検索語句をチェックしたところ、
相変わらず「PDF-XChange Viewer」と「神の目/みずがめ座NGC7293」あたりが多いですが、改正された「減価償却制度」も多いですね。

同業者の場合、6月の地域別研修でやったばかりですので、おそらく一般の方が検索されているのだと思います。
では、ということで次回から改正(新)減価償却制度に触れてみたいと思います。

あと、「修正申告 建設業 経営事項審査」というのもありました。
今日の夕方、以前の関与先の方が見えて経審用の財務諸表を書き直したばかりです。
おそらく同じような事例かもしれません。コメントを残してくださればお役に立てたかもしれないのですが...

「償却可能限度額 馬」というのもありました。
まだ帰宅するには早いので、せっかくですからお答えしておきましょう。

◎平成19年4月1日以降取得の場合
 1円(備忘価額)まで償却できます。
 耐用年数と定額法償却率は次のようになっています。

 農業使役用  8年 0.125
 小運搬使役用 6年 0.167
 繁殖用    7年 0.143
 種付用    6年 0.167
 競争用    4年 0.250
 その他用   8年 0.125

 競争用が4年って、その後の運命を考えると悲しくなりますね。

◎平成19年3月31日以前取得の場合
 従来の減価償却方法を継続し、取得価額の95%まで償却がすんだ場合は、残りの5%部分から1円を控除した金額を、その翌事業年度から60ヶ月(5年間)で償却することになります。

因みに豚は一律3年で0.334(定額法償却率)です。
ネコは?
悲しいかなネコは役に立たないので資産価値ゼロ、減価償却以前の問題ですね。
今朝ほどレオを、獣医さんのところへ連れて行ってきました。
注射の効力は1週間しか持ちません。
資産価値ゼロでもその効用は豚や牛馬よりも高いといえます(笑)、私には。


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