福岡高裁、3児死亡飲酒事故事件、逆転判決!

  • 2009.05.15 Friday
  • 15:32
正確には、「逆転判決」とは言わないが、

本日、福岡高裁は福岡地裁判決を覆して「危険運転致死傷罪」(刑208条の2)を適用した判決を示した。

福岡地裁は懲役7年6月を判示していたが、本日の高裁判決は懲役20年を言い渡した。

毎日jp
福岡3児死亡:控訴審は危険運転致死傷罪認定 懲役20年

20年が適切な量刑であるか否かは別にして、
(当然に、軽すぎると言う声が上がるだろう)
「危険運転致死傷罪」が適用されたのに対しては、多くの方の共感を呼ぶと思われる。

公務員を辞めたからといって、
(懲戒免職だったと思うが)
社会的な制裁を受けたからといって、
3人の人間を殺して、
たったの7年6月の懲役では首を傾げざるを得ないだろう。

皆さんは、どう思われますか?


刑法第27章 傷害の罪

第208条の2

 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者1年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする
 2 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。




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荒っぽいね!

  • 2009.02.06 Friday
  • 18:30
ずいぶんと荒っぽい連中がいるもんだ。
しかも警官に対してとは。

新聞にも出ていたので覚えていらっしゃるかもしれない。

路上で職務質問を行っていた警察官2名に対し,未必の故意をもって自動車を衝突させるとともに,うち1名を自動車の底部に巻き込んだまま同車を前進させるなどの暴行を加えたという公務執行妨害,殺人未遂等の罪に問われた被告人に対し,懲役14年の判決が言い渡された事例
事件番号 平成20(わ)2191
事件名 殺人未遂,公務執行妨害等被告事件
裁判年月日 平成20年12月10日
裁判所名・部 大阪地方裁判所 第12刑事部

判決文はこちら(全21頁)。

今でも制服姿を見かけるとつい緊張してしまうが、
警察官をやるのも大変な時代になったようだ。

もしもしベンチでささやくお二人さん ♪♪「若いお巡りさん」

のような、のどかな時代は今いずこ?

である。




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「光市母子殺害事件」と「新宿バス放火殺人事件」

  • 2008.04.25 Friday
  • 13:00
「光市母子殺害事件」と「新宿バス放火事件」は直接的には無関係な事件である。

「光市母子殺害事件」に係る裁判は「少年法51条」を巡るものだったと見ることができる。

第51条
 罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。
2 罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、10年以上15年以下において言い渡す。

今回の差戻し審は、
最高裁が示した、連続4人射殺事件(永山則夫連続射殺事件)に係る、いわゆる「永山基準」を踏襲したが、少年法51条につき、
「形式的基準は設けているが、精神的成熟度などの要件は求めていない」
として弁護側主張を退けたという事である。

他方、6人の死者を出した「新宿バス放火殺人事件」では、以前ご紹介した「刑法39条」適用の可否が争われた。

第39条
 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。


このように両者に繋がりは無いが、昨日の日経を読んでいて驚いたことがあった。
何かと話題になった、光市母子殺害事件の主任弁護人である安田好弘弁護士は、新宿バス放火事件でも弁護人を務めたということである。
ただ、それだけの話なんだが...

しかしまあ、
光市母子殺害事件の差戻し審判決が出た翌日に、その主任弁護人の「強制執行妨害」に係る東京高裁の「逆転有罪判決」が出るとは、
なんという巡り合わせであろうか。
単なる裁判日程の結果で作為など入り込む余地はないと確信するが、それにしても、と思った次第である。

ところで、
1982年に起きた「深川通り魔殺人事件」でも「刑法39条」の適用が争点となったのだが、

実は、同時代に起こされたこの二つの事件で、それぞれの被告に心神耗弱が認められた判決の瞬間、二人はまったく同じ反応をした。
ニヤっと笑ったのである

と記述した本がある。

日垣隆『そして殺人者は野に放たれる』がそれである。

そして殺人者は野に放たれる
そして殺人者は野に放たれる
日垣 隆

文庫版はこちら。

そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)
そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)
日垣 隆

読むとわかるのだが、
両事件の犯人が現実に、
「判決の瞬間、ニヤっと笑った」
のではないのだが、その辺の事情は詳しく記されている。

この本は、実は、
我が国における「精神鑑定」のいい加減さを告発しているのである。
安田弁護士は、あの「麻原智津夫」死刑囚の主任弁護人であったということだが、
同死刑囚の精神鑑定につき、3名の精神科医はそれぞれ異なる内容の鑑定書を提出した(よね、確か)ことはまだ記憶に新しい。

この本は、
精神鑑定の困難性も含めてその結果が信頼に耐えうるのか否か、その辺の所を追求していると思われる。

また、
「刑法39条」をむやみに使いたがる法曹をも告発しているとも言える。

「私の弟は理不尽に殺され、兄は長く精神分裂病に罹患したままです。」と「あとがき」で述べる著者は、
全30巻以上に及ぶ、
「これを読破したという精神科医に、私は今まで会ったことがありません」と「解説」の「精神科医」に言わしめた、
『現代精神医学大系』を読破したということである。

それと並行して(たぶん)続けた10年間に及ぶ取材により執筆されたのが本書である。
私は、他人には「ソフト」は薦めても「本」なんてまず薦めることはないのだが、
まあ、この本は読んでもらっても悪くはないんじゃないかと思う。
奇をてらった内容ではないし。

というわけで、よろしければ、どうぞ。


『原島弁護士の愛と悲しみ』−光市母子殺害事件差戻控訴審判決−

  • 2008.04.23 Wednesday
  • 10:41
いわゆる「光市母子殺害事件」の差戻し控訴審の判決が出た。
日経の「判決要旨」を読んだが妥当な判決と思う。
「人権派弁護団」は上告したそうだが。

ところで、
短編小説『原島弁護士の愛と悲しみ』をご存知だろうか?
1983年に第22回「オール讀物推理小説新人賞」を受賞した「小杉健治」の短編小説である。
(『原島弁護士の処置』を改題)

文春文庫は廃刊となっていたが、この4月に光文社文庫として再び読むことができるようになった。
因みに、文春文庫はアマゾンで3150円の高値がついている。

原島弁護士の愛と悲しみ (光文社文庫 こ 15-10)
原島弁護士の愛と悲しみ (光文社文庫 こ 15-10)
小杉健治

前置きが長くなったが、その内容(「BOOK」データベースより)は、

江戸川区小岩の母娘殺害事件の容疑者の弁護を引き受けたのは、かつて同容疑者に妻と娘をひき殺された原島弁護士だった―。原島弁護士が弁護を買って出た、その“処置”は功名心からか、社会正義からか。それとも美談の裏に何かがあるのか。全篇が鋭利な論理で構築された表題作など、秀作5篇を収録する。

というものである。

『原島弁護士の愛と悲しみ』はテレビ化されたことがあり、私も見た記憶がある。

ネットで検索したところ、1984年(85年?)にTBSで前後編に分けて放映されている。
実は、当時、斉藤由貴のファンだった私はそれ目当てに観たのであるが、「内容」により、「原島弁護士の愛と悲しみ」というフレーズは記憶の中に刻印されたのである。

母娘を殺害された夫(父)を佐藤慶、
その6年前に妻子を同一犯人に殺されたにもかかわらず、よりによって母娘殺害犯の国選弁護人となった(現実にはありえない設定だと思うが)原島弁護士を緒方拳が、
原島の娘役を斉藤由貴が演じていた。

なお、本ドラマは斉藤由貴のデビュー作となった。
一般には「野球狂の詩」がデビュー作とされているが、制作はこちらが早かった。「スケバン刑事」は3作目である。
どうでもいいけど(笑)。

光市母子殺害事件に関して、「死刑判決」についていろいろな主張があるが、
同判決を「不当」と考える方々は、家族を殺された側に立って考えてみるのも一つの見識かもしれない。

自分の妻子を理由なく殺害された場合、果たして「死刑判決」を「不当」と言ってられるのかどうか!?

我が国刑法は「私的制裁」はもとより「自力救済」すら基本的に禁じている。
(正確には「自力救済」は民事上の専門用語であり、刑事上は「自救行為」という用語を使用する。)

『原島弁護士の愛と悲しみ』はその辺りを突いた小説である。
できればお読みいただきたい、
                            ものである。



因みに、
母子を殺害された本村氏は全国の被害者やその家族と共に「被害者救済」を訴え続け、それらの活動の結果、
平成17年4月、「犯罪被害者救済法」が日の目を見ることとなった。

犯罪被害者救済法

光市母子殺害事件に思う−刑法39条−

  • 2007.07.27 Friday
  • 19:48
いわゆる「光市母子殺害事件」に関する差戻し審(広島高裁)第3回集中審理7月24、25、26日)が終了しました。
次回は9月18、19、20日に集中審理が行われる予定のようです。

念のため事件の概要をごくごく簡単に説明しますと、
(新聞や週刊誌、Wikipediaを参考にしています)

94年4月、当時18歳30日の少年が強姦目的で山口県光市の社宅に押入り、抵抗した女性を殺害した後屍姦し、同時に泣き止まない幼児を床にたたきつけるなどして殺害した、とされる事件です。

少年は同月18日に逮捕されましたが、その後の経過は次のようになっています。

99年
 検察官送致(山口家裁→山口地検)、地検;起訴
00年3月22日
 判決;無期懲役(山口地裁)→地検;控訴
02年3月14日
 控訴棄却(広島高裁)→地検;上告
 判決文はこちら;判例検索システム「平成12(う)66」で見ることができます。
06年6月20日
 原判決破棄、審理差戻(最高裁)
 判決文はこちら;判例検索システム「平成14(あ)730」で見ることができます。

同ページの判例要旨は、
「主婦を強姦目的で殺害した上姦淫し,さらに,その場で生後11か月の同女の長女をも殺害するなどした当時18歳の被告人につき,第1審判決の無期懲役の科刑を維持した控訴審判決が量刑不当として破棄された事例」
となっています。

さて、21人(今回1名増えたようですが)のいわゆる「人権派弁護士」のことはさておいて、
差戻し審において、被告人は、1、2審で認めていた殺意や強姦目的を全面的に否定するに至りました。

これは、最高裁がその判決の「理由」の中で、
「本件記録によれば,弁護人らが言及する資料等を踏まえて検討しても,上記各犯罪事実は,各犯行の動機,犯意の生じた時期,態様等も含め,第1,2審判決の認定,説示するとおり揺るぎなく認めることができるのであり,指摘のような事実誤認等の違法は認められない。」
とし、

「当裁判所の判断」の中で、
「以上の諸点を総合すると,被告人の罪責は誠に重大であって,特に酌量すべき事情がない限り,死刑の選択をするほかないものといわざるを得ない。」、

「被告人が犯行時18歳になって間もない少年であったことは,死刑を選択するかどうかの判断に当たって相応の考慮を払うべき事情ではあるが,死刑を回避すべき決定的な事情であるとまではいえず,本件犯行の罪質,動機,態様,結果の重大性及び遺族の被害感情等と対比・総合して判断する上で考慮すべき一事情にとどまるというべきである。」と述べ、

「本件において死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情があるかどうかにつき更に慎重な審理を尽くさせるため,」「本件を原裁判所に差し戻す」
としたからに他ならないと考えます。

要するに、特段の事情がない限り死刑を科すべきであると差し戻されたため、1、2審で認めていた事実関係を全面否認するに至った、ということかと思います。

被告人の発言に関して、
「甘えたかった」とか「ぬくもりが欲しかった」、「こんなお母さんの子供に生まれたら…」やこのブログには書けないような発言等が報じられていますが、
この戦術の転換の背景には、やはり、刑法39条があるんでしょうね。

第39条
 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

確かに、法は199条で殺人の科刑を規定していますが、

第199条
 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

過去のいろいろな事件で、39条を根拠に減刑された事例が多くあります。
利口な犯罪者であれば、39条を念頭に精神の異常性を演じることがないとは言えません。

殺人を犯しても心神耗弱者を装い社会に戻ってくる、そういう可能性がないとは言えません。
隣に引っ越してきた人の好さそうな人物が実は...
「隣の殺人者」
を見分ける術がない「普通の人」はどうしたらいいんでしょうかね?

この項、時間をかけて続ける予定です。
(今、勉強中です。)

参照サイト
Googleニュース検索結果
Wikipedia「光市母子殺害事件」
(現在、著作権で揉めています。)
Wikipedia:削除依頼/光市母子殺害事件20070715

私も十二分に気をつけたつもりですが、
もし著作権に触れるような箇所があれば可及的速やかに削除いたしますので、コメント欄でご指摘下さい。

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