拝啓 半沢直樹殿 2 −金融検査と引当金−

  • 2013.09.18 Wednesday
  • 14:46
 
いよいよ最終話を残すのみ、楽しみである。

流行語大賞間違いなしとされる「倍返し」のみならず、
小学生の間では「半沢走り」が流行っているそうで、反響の大きさがわかるというものである。


9/16 0:24 ソラ




さて、前回記したように、
200億円の融資先(伊勢島ホテル)が株式投資の失敗によりに120億円の損失を計上する見込みだから、

といって、東京中央銀行はなぜに1500億円の引当金を計上しなければならないのか?

少々理解し難い論理構成である。

第7話冒頭の「復習」から




このドラマ、エンドロールに「税理士監修」という文字が流れる。
で、当該税理士のページをチェックしてみたが、
各話の視聴率が記してあるだけでその他については書かれてないように見える。

「半沢直樹、金融検査」でググると、
元銀行員にしてコンサルタントをされている方のブログの記事「<銀行>半沢直樹を科学する」がヒットする。

その3に「(16)引当金について」という解説があるが、
120億円の損失計上見込みに関して実質破綻先と判断された場合、

>TVドラマでは1,000億円から1,500億円程度の銀行本体への損失が生ずる、とされていた。

と記されているが、
なぜに>1,000億円から1,500億円程度 になるのかに関しては言及されてない。
判断材料があまりに限定されているのでコメントのしようがない、というところだろうか。


9/16 0:26



同様な疑問を持つ方は他にもいると見えて、


の88に>何で貸した金額以上の貸倒引当金を計上しなきゃならないの?
という疑問が呈されている。

まあ、所詮はTVドラマ、ムキになる必要はないのだが、もしかして自分の考え方が誤っているのでは?
ないかと、シロクロをつけたいのである。

と逡巡していたら我が意を得たりという記事に辿り着いた。


9/16 0:27




執筆者は金融検査官も経験されたことのある元大蔵省キャリアにして小泉内閣時の内閣参事官、現嘉悦大教授の高橋洋一氏。

記事中に以下の一文があった。

>ドラマでは、200億円の融資をしているが、せいぜいそのうちの120億円が返済不能になっているくらいのはずなので、必要な引当金は、たかだか120億円だ。その前までに累積損失が大きければ別だが、ドラマの中でのプレゼン資料ではそうなっていない。

どうやら私の疑問の方が正当だったようである。
やれやれ。w

プレゼン資料はこちら。





なお、ドラマの第一部のラストでもおかしな点があった。
半沢融資課長が西大阪スチールの計画倒産に絡み、タックス・ヘイブン(租税回避)の地、ケイマンに隠された預金12億を国税より先に差し押さえ、

クラブで黒崎査察部統括官の部下に対し、
「分け前欲しけりゃ頭の一つも下げに来い!」と黒崎査察統括官に伝えろ、とキメセリフを吐くが、

これって全面的に正当であるとは言えない。w

課税庁が有する租税債権には国税徴収法により租税債権の優先的効力が付されている。

例えば、

(国税優先の原則)
第8条  国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。


退屈でゴメンナサイ!
9/16 0:27



ただし、
法定納期限等以前に設定された質権や抵当権等の場合はそちらが国税に優先される。

(法定納期限等以前に設定された質権の優先)
第15条  納税者がその財産上に質権を設定している場合において、その質権が国税の法定納期限(次の各号に掲げる国税については、当該各号に定める日とし、当該国税に係る附帯税及び滞納処分費については、その徴収の基因となつた国税に係る当該各号に定める日とする。以下「法定納期限等」という。)以前に設定されているものであるときは、その国税は、その換価代金につき、その質権により担保される債権に次いで徴収する。

(法定納期限等以前に設定された抵当権の優先)
第16条  納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。

視聴者に及ぼす影響の大きさに鑑みれば、
この辺はもう少し丁寧に描かれるべきではなかったのではないかと思う。

まっ、テレビだからいいのかな?w

で、先ほどのプレゼン資料だが、
そもそも120億の損失を出したからといって、伊勢島ホテルがいきなり「実破」にラン
ク付されるのはどうみてもおかしい!

再掲する。





この点については、
<銀行>半沢直樹を科学する4でも全く同じことが指摘されている。

この資料を見る限り過去の業績は悪くないし、
内部留保だってかなりの額に達しているんじゃないかと推察される。


昨日の研修帰りに、垂水フェリー乗り場にて。
相変わらず噴火をしていた。



金融検査と引当金に関して興味のある方は以下のサイトをご覧あれ!
(大体、わかりやすくやさしい順)










旧金融再生委員会サイトより


 同銀行では引当率は100%となっている。
  実質破綻先において
  貸出金等の残額A:21億円
  担保等による保全額B:18億円
  回収懸念額(A-B)C:3億円
  貸倒引当金残高D:3億円
  引当率D/C:100.0%

以下はマニアック!w

日本公認会計士協会

桜田照雄


 債権の分類や債務者の区分についてはPDFの208ページ以降に
 引当金に関してはPDFの241〜254ページを読むとわかりやすい。

金融庁
法令・指針等


最終話の瞬間視聴率、45%を超えるかも?
楽しみですね!




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拝啓 半沢直樹 殿 (その一)

  • 2013.09.13 Friday
  • 12:47
 
9/8 23:06 ソラ




東京中央銀行本店営業部 御中
第二営業部次長 半沢直樹 様


私事、田舎税理士の窪田と申しますが、
次回金融検査の準備でご多忙のところ、突然このようなお手紙を差し上げますことご容赦ください。

半沢様のご活躍を毎週楽しみにし、反撃の度に溜飲を下げているところでございますが、
今般シリーズに於いて、どうしても疑義を拭えない事項がございます。

それは、
貴東京中央銀行が伊勢島ホテルに融資した200億円の回収可能性に関し1500億円の引当金を計上せよという点でございます。

黒崎金融庁検査官によりますと、

伊勢島ホテルが新システムの開発費として株式会社ナルセンエンジニアリングに113億450万円を投入
            ↓  
株式会社ナルセンエンジニアリングが特許問題により破綻する方向
            ↓
貴東京中央銀行が伊勢島ホテルに融資した200億円のうち113億450万円が回収不能となる惧れ
            ↓
したがって、引当金を1500億円計上せよ。

ということですが、
何故に1500億円という額になるのでしょうか。

本来なら黒崎検査官に尋ねるのが筋というものですが、

あなた、そんなこともわかんないの?それでよく税理士をやってられるわね!

と大事なところを握りつぶされそうなので半沢様にお尋ねすることに相成った次第です。

然るに、
金融庁の金融検査は「金融検査マニュアル」に則って実施されると理解しておりますが、
現行金融検査マニュアルには以下の記述がございます。

 破綻懸念先に対する債権に係る貸倒引当金 
  破綻懸念先に対する債権に係る引当金については、原則として個別債務者毎に破綻懸念先に対する債権の合理的と認められる今後の一定期間における予想損失額を見積り、予想損失額に相当する額を貸倒引当金として計上する。通常、今後3年間の予想損失額を見積っていれば妥当なものと認められる。 
  なお、大口債務者については、DCF法を適用することが望ましい。

 実質破綻先及び破綻先に対する債権に係る個別貸倒引当金及び直接償却 
実質破綻先及び破綻先に対する債権については、個別債務者毎に景類及び己類とされた債権額全額を予想損失額として、予想損失額に相当する額を貸倒引当金として計上するか、直接償却する。 

したがいまして、金融検査マニュアルに従うならば、
株式会社ナルセンエンジニアリングに対する投資額(支払額)113億450万円を実質破たん先として、
実質破綻先に対する債権に係る個別貸倒引当金を設定するとした場合は、
最高で113億450万円を計上すればいいことになります。

事実、旧金融再生委員会に於ける「経営健全化計画フォローアップ」中の旧富士銀行における平成11年9月期(平成12年1月公表)の引当率は、

己類に対する引当率 100%
景類に対する引当率 76.0%

となっています。

以上、要するに1500億円の引当金計上は何かの誤りではないかと思量するところです。

やられたらやり返す、倍返しだ!

については不肖クボタも同様を旨とし拙ブログに於いて7,8年前に記したところですが、

10倍返し」については全く以て目を見張る思いがしました。

だからと言って、1500億円、10倍以上の引当金計上というのはあまりに無体な金融検査官の指導かと存じます。
つきましては、もし別に何か根拠が存在するのであればご教示いただけますと幸甚です。

この度は甚だ不躾なお手紙となりましたことお詫び申し上げます。

最後に、半沢様に於かれましては、
次回金融検査を無事乗り切られ、また貴行に巣食う銀行員にあるまじき悪辣な行為を重ねている取締役等を追及かつ排除され、貴東京中央銀行の窮地を救われんことを心から願っている次第です。

半沢様の益々のご活躍を祈念しております。

税理士窪田



9/8 23:07 ソラ





解説は明日以降の予定、よろしく!




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「災害損失引当金」を通して被災企業を知ろう−「引当金」の考え方を理解する−を読む!

  • 2011.10.04 Tuesday
  • 12:13
 
CPAの松尾さんの「財務諸表を読んで復興支援!」シリーズの最終回
相変わらず題名が長い!笑)

今回は引当金。
私の2つ目の大学の卒論は引当金をテーマにした。
東西二大会計碩学による、いわゆる「引当金論争」を思いっきり勉強したものだ、当時。
ちょい懐かしい!


財務諸表を読んで復興支援!
「災害損失引当金」を通して被災企業を知ろう−「引当金」の考え方を理解する−



         (松尾さんのFBより)

facebookには、
近日中にお目にかかれるよう準備中です
と書かれているので、
いずれ新シリーズが始まるのかもしれない。
乞うご期待!である。

おつかれさまでした!


ところで、
9月30日に例の遡及立法をめぐる2つ目の最高裁判決が出た。

上告棄却(敗訴)

ただし、
今回は2人の裁判官から補足意見が出された。
敗れたとは雖も前回の判決よりはややマシか、と思う。

なお、
お2人の補足意見は微妙にニュアンスが異なっている。
比較検討されることをお勧めしたい。




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「繰り延べ税金資産を理解すれば後は簡単−税効果のイメージをつかもう!(2)−」 を読む!

  • 2011.09.20 Tuesday
  • 11:52
 
松尾さん、題名が長すぎます。笑)

CPAの松尾さんの連載6回目が今日アップされている。

財務諸表を読んで復興支援!
繰り延べ税金資産を理解すれば後は簡単−税効果のイメージをつかもう!(その2)−



         (松尾さんのFBより)

フェミニンなお姿で。
是非一度お会いしたいものだ。笑)


税効果会計の2回目。

松尾さんの解説、
図入りで解りやすいのでどうぞお読み下さい!

>次回は、多くの被災企業の財務諸表に登場する、災害損失引当金を取り上げ
られるとのこと、

お楽しみに!




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「基本が分かれば怖くない「税効果会計」」 を読む!

  • 2011.09.06 Tuesday
  • 23:53
 
CPAの松尾さんの連載5回目が今日アップされていた。

本日は研修、
一日がかりの研修から戻り、日経ビジネスオンラインンのメルマガで知った。

今回は(次回も)、ちょっと取っ付き難い「税効果会計」。


財務諸表を読んで復興支援!
基本が分かれば怖くない「税効果会計」





税効果会計、

この和訳がよくない、と思ったものである。

確かに、英語では、
Tax Effect Accounting”(イギリス)、
と表記されるが、

アメリカでは、
”Accounting for Income Taxes
” だし、

文献によっては、
income tax allocation”と表記される場合もある。

そのまんま、「税金配分会計」

としていたら気分的にも受け入れ易かったのではな
いかと思うが、
我が国では「税効果会計」が定着してしまった。

ところで、
税効果会計が我が国に本格的に導入される前に「これ」で学位(修士)を取ったのだが、
すっかり
忘れてしまった。笑)

使わないからね、中小企業では。

冗談はさておき、

松尾さんの解説、
図入りで解りやすいのでどうぞお読み下さい!




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サイドバーの格言、

美しい妻を持っていることは地獄だ。
                          シェイクスピア

だそうで。
美しい妻を持ったことがないから解らない。
税効果会計以上に解らない!笑)

じゃあ私が!
という勇気のある美しい女性はいないかね、いないだろうね。爆)

5位ランクイン ―CPA松尾さんの記事―

  • 2011.08.25 Thursday
  • 15:03
 
今朝の、
「日経ビジネスオンライン」メルマガによると、

この火曜日にご紹介した、
松尾さんの日経ビジネスオンラインでの記事が5位にランクインしたとのことである。




ご紹介した手前、ちょっと嬉しい。

----------------------------------------------------------

 ご覧頂いた方には心から感謝申し上げます。
 どうも有難うございました。

 なお、松尾さんとはお会いしたことはないし、
 特に、ここでの紹介を依頼されたわけでもありません。

 単なる気分です。笑)
 (facebookの「友達」というだけの繋がりです)

----------------------------------------------------------





財務諸表を読んで復興支援! 

単純比較できない2つの大震災の影響
減損会計と損益分岐点分析についておさらいしよう





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「財務諸表を読んで復興支援!」 の4回目を読む。

  • 2011.08.23 Tuesday
  • 20:49

本日の日経ビジネスオンラインに、

ドイツから帰国されたばかりの、
公認会計士、松尾絹代さんの連載4回目の記事が掲載されている。





財務諸表を読んで復興支援! 

単純比較できない2つの大震災の影響
減損会計と損益分岐点分析についておさらいしよう


よろしければ、今回もお読み下さい。


今月は自転車ですでに274km走行している。
21日は大阪からの自転車仲間の出迎え&見送りで99.48km。

これから冬にかけて、
年明けから貯蔵した(笑)体脂肪を4kg程度落とさなければならない。

脂肪の場合、預貯金と違って貯まるのは早いが払い出しには時間がかかる。
逆なら良いのにと真摯に思う。笑)




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「財務諸表を読んで復興支援!」 の3回目を読む。

  • 2011.08.09 Tuesday
  • 11:20

本日の日経ビジネスオンラインに、
公認会計士、松尾絹代さんの連載3回目の記事が掲載されている。





財務諸表を読んで復興支援!

固定資産廃棄損という「過去」から会社の未来は描ける?
減価償却の視点を忘れないで

興味のある方はどうぞご覧下さい。
勉強になりますよ!


なお、写真の掲載の許可をいただいたのでアップした。
facebookからDLしたのだが、FBやtwitterのプロフで使用されているものより、
こちらがより本質的(注)だと思いサイズが小さいけど選択した。

私に撮らせてくれたらもっとイケルと思う。
税法よりも女性写真の方が、

腕に覚えあり!

である。爆)




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注)本質的…単に好みの問題である、と解される。笑)

「“トクソン”に惑わされていませんか」を読む。

  • 2011.07.26 Tuesday
  • 11:59
 
このJUGEM、またもや書いている途中の記事が消えた!
特定のタイピングでこの現象が起こる。

そもそも、ミスしたタイピングなんて記憶に残ってないので対処のしようがない。
困ったものだ。





さて、気分を変えて、

日経BPオンラインに、
松尾絹代公認会計士のシリーズ2回目の記事がアップされた。

今回も痒いところに手が届くようなわかりやすい内容となっている。
興味のある方はどうぞ!

財務諸表を読んで復興支援! “トクソン”に惑わされていませんか

米国の会計基準には、特別損失と似た「異常及び通常ではない項目」があります。けれど、ここに入るのはよほどの非常事態。2005年のハリケーン・カトリーナや、2001年の9・11同時多発テロでも、この項目は使われなかったので、今回の大震災でも使われません。「異常」の物差しが日本とは違っているのです。

こいつは知らなかったな、勉強になった!

今月も申告に向けて忙しい!
8月は少しのんびりできそうだ、もう少しの辛抱!?




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