面倒なり源泉徴収義務、総括表や合計表も。

  • 2011.02.08 Tuesday
  • 23:52


家内制手工業の極み、
とも言える総括表の仕分けをしながら思い出した。

 総括表(正式には給与支払報告書)
 
 お宅の町にはうちの会社の従業員がこれだけ住んでいて、
 それぞれに、1年間にこれだけの給料等を支払いましたよと、
 個人別の明細書(源泉徴収票と全く同じ形式)を添付して、
 各自治体に1月末までに届けるヤツ
 自治体によって書式が異なっていたりする迷惑千万なヤツ

そういえば、学部の時、源泉徴収義務の問題性について書いたっけ?
と。

2月に入り少しは余裕が出たのでそのレポートを探してみた、
ネットで。

というのは、
以前、大学院を目指す学生諸君のために「小論文の書き方」ってことで、
学部時代のレポートを紹介していたのだが、
未だに残っていた。

能書きはおいといて、まずは転載させていただく。


源泉徴収における法律関係の二元的構造に関して
 
 所得税法は、一定の所得について源泉徴収制度を適用することを規定する。すなわち個人に関しては利子所得、配当所得、給与所得、退職所得及び一定の報酬・料金について源泉徴収制度を適用することを定めている。
 この制度には、(1)課税庁にとって収入に関する課税上の資料の入手が保証されること、(2)予定納税の時期以前に国庫収入を確保しうること、(3)徴税費が安くなること、(4)受給者にとっても納税が容易になることといったメリットがある反面、(1)源泉徴収制度に対する憲法上の疑い(14条、29条、31条違反等)があること、(2)源泉徴収のレベルだけでは必ずしも完結的な総合累進課税をなしえないこと、(3)人々の納税者意識を希薄化させるといったデメリットも内包する。特に、人々の納税者意識を希薄化させるというデメリットは、受給者に源泉徴収の二元的構造に対する疑問を意識させないばかりでなく、民主政治の展開上も大きな問題となりうるものである。
 他方、課税庁にとって最も大きなメリットは(1)課税上の資料の入手が保証されることであり、この点に注目するならば、できるだけ源泉徴収の対象を拡大することが適正な税務行政を展開する上で望ましいということになる。
 しかし現行法は、源泉徴収制度をもっぱら国家の租税確保の手段として租税手続き的視角から構成しているのであって、そのため、本来の納税者である受給者は租税法律関係から捨象される結果となっており、ここに源泉徴収における法律関係の二元構造が惹起されることになる。
 すなわち、源泉徴収における法律関係の二元的構造とは、源泉徴収の法的関係が公法上の租税法律関係(課税庁−源泉徴収義務者)と民事法律関係(源泉徴収義務者−受給者)との二つの関係によって構成されることである。つまり、課税庁と源泉徴収義務者との間の法律関係と源泉徴収義務者と受給者との間の法律関係とはそれぞれ異なった性格を有するばかりでなく、受給者と課税庁との間には源泉徴収の段階において、通常、法律関係は発生しないという特殊性が存在するのである。さらに、源泉徴収義務者自身は少なくとも二つの異なる法的地位を有するのであって、現行法における以上の構造は、本来の納税者である受給者の法的地位の向上を図るにあたって大きな法的障害として立ちはだかることになる。
 このような二元構造の下では、とりわけサラリーマンは源泉徴収制度における所得把握度の著しい不均衡による不利益のみならず様々な法的不利益を受けることになる。例えば、現行法は源泉徴収の段階での本来の納税者に対する納税緩和措置をほとんど整備していないため、サラリーマンはその人的諸事情をまったく考慮されることなく一方的な税の天引き徴収を甘受さざるをえない。
 また、サラリーマンに関する年税としての所得税義務は毎年12月31日を経過する時点において成立するが、それとは別に毎月の源泉徴収段階での納税義務は独立して成立する結果、仮に年末調整によって調整されるとしても、ある月の源泉徴収行為の違法性は解消されない。同様に、源泉徴収義務者が違法な天引き徴収を行ったとしても、当該違法行為に対して現行法の下ではサラリーマンには対処する途は閉ざされている。
 さらに認定給与についても、その源泉徴収税分にかかる納税告知処分は受給者に対してはなされないため、受給者は突然に天引き徴収され、またその法的権利救済の途を現行法は規定していないため、受給者は甘受するしかないのである。
 すなわち、源泉徴収における法律関係の二元的構造の下では、本来の納税者である受給者は源泉徴収をめぐる租税法律関係には登場することができないため、結局、源泉徴収義務者を相手とする民事訴訟を提起するしかないことになるが、現実としてサラリーマンがその雇い主を相手に訴訟を提起しうるかというと不可能と言わざるをえない。
 したがって、立法論的には、給与所得の源泉徴収制度を現行制度のようなほぼ完結的自足的制度から、あくまで申告納税の事前的な概算納付の制度として位置づけ、本来の納税者である受給者の税法的地位を高める、受給者を中心とする租税債務法的視覚に立った源泉徴収制度へと抜本的に改めることが必要であると解する。そしてそのためには、年末調整を受けるか否かはサラリーマンの選択に任せ、また、できるだけ納税申告権を行使させるような態勢を整えるとともに、源泉徴収段階における問題はすべて課税庁を相手に、受給者側から直接に不服申立ができる権利救済措置(行政上の不服申立、行政訴訟)が立法において導入されるべきと言える。受給者に対し名実ともに納税者としての法的地位が保障されるべきである。


う〜ん、自分の文章ながら、
なんだかよくわかんないけど(笑)、
大学院を租税法で受けようというだけのことはあって気合が入っている。

故北野弘久教授の書籍からの引用でしょ、これ!

と、
即座に判った方がいたらオトモダチになって下さい!

マジなハナシで、
判例の指摘がなされていないのが致命的である。
最高裁昭和45年12月24日判決を指摘しないとね〜
いわゆる「総評サラリーマン訴訟」最高裁平成元年2月7日(ちょうど22年前だ)判決では、
一顧だにされなかった論点だけど。

ところで、
このレポートに関して前書きをたれているのだが、
これがスゴイ、
今はとてもじゃないけど書けないぞ!
一部引用すると、


「税を知る週間」が始まりました(11/11〜17)。
私の住む地域でも税務署主催の「租税教室」、「年末調整説明会」や税理士会主催の「無料相談会」とか商工会議所主催の「正しい納税者の集い」とかが開かれます。
しかし、彼らが租税法の理念を解っているのかとなると疑問を呈さざるを得ません。ほとんどの税理士のみなさん、税務署出身で、かつて徴収する側にいた感覚はなかなか抜けないようです(つまり、税務署よりということ)。また、税理士試験合格者であっても、「租税法」という科目は試験科目になく、各種税法に受かりさえすればそれで開業できるわけですから。
税理士法1条を本当に理解している税理士が果たしてどれだけいることか、税理士は全国で6万数千人いるそうですが。私には、単なる記帳代行マシーンや申告マシーンにすぎない税理士が多いように見えます。     (中略)
私の修士論文は租税法に関するものですが、判決・判例を精読していたときはよく大笑いしたものでした。本当は笑っている場合ではないんですけど。会計学が全然解ってない裁判官の書いた判決なんて、はっきり言って無茶苦茶でした。バックボーンとして会計の知識がないと、租税法を真に理解するのは難しいことの証左かもしれません。


キツー!!
10数年前の文章だと思うけど、
>申告マシーン
にはドキッとした、現に自分がそうなりつつあるんじゃないかと。

で、レポートは平成5年ごろのものだと思われるが、
講評が記されていた。


「かなり技術的な問題がかかわってきて、非実務家の方には理解するのが大変なところであると思います。確かに、源泉徴収の具体的な法制度の理解には今一歩の感があり、その法律関係の二元的構造に対する理解ももう一歩ですが、これはやむを得ないところでしょう。しかし、国民主権原理の中で位置づけられる申告納税制度との関連からの論点を指摘しえた答案は極めて稀で、一段格調の高い意識と視野とを持ちえていることを示しています。そうした意味では今回の答案の中でも数少ない秀作であるといえます。この調子で大いに頑張って学問の深化を図ってください。以上」


論点を指摘しえた答案は極めて稀で
>一段格調の高い意識と視野とを持ちえている
>今回の答案の中でも数少ない秀作である


褒め言葉の羅列だ!
最近、誰からも褒められたことがないのでちょい気分がいい! 笑)

冗談はさておき、
開業して5年以上経つと、あちこちにカスが溜まってくる。

ここらで初心に帰って、
気分と体制を一新してみたいものだ。

えてして、
「初心忘るるべからず」
という格言自体を忘れてしまいがちだ。

気をつけないとね。

なんでこのオレがこんなことしなきゃならないんだ!!

と怒りを覚えた、
「総括表」の仕分け&発送準備
も、それほど無駄にはならなかったことになるらしい。

でも面倒であることは間違いない。
全自治体が、
早くeLTAX に対応してくれるようにならないと困る。

因みに、
憲法14条1項違反を争った、
源泉徴収制度の合憲性は最高裁において確定している。
しかしながら、なんでもそうだが、

おかしいんじゃね?

と疑問を呈し、
実際に検討することの価値は未だに存在していると思う。
少なくともアタマの体操にはなるだろう、同業者のみなさんにとっては。

ま、そんな酔狂な方はほとんどいないと思うが、
ミムラさん、                            ← 指名である。笑)
この論点に限らず、よかったらやってみてくださいね。
勉強になること請け合いです。



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コメント
こんばんは。
>職場に置くのかは悩ましい
これ見よがしに置くといろいろあるかもしれませんね。
状況を見極めてください! 笑)

登録、3月ですか!
初々しくっていいなぁ。
私も...(遠い目)
こちらこそよろしくお願いいたします。

あ、年賀状有難うございました。
結局、1枚も出さずに印刷したままデスクの上で埃を被っています。
いただいた皆様に申し訳ない限りです。
  • 税理士窪田
  • 2011/02/14 9:37 PM
ご指名ありがとうございます(笑

租税法の本を家に置くのか、
職場に置くのかは悩ましいところです。

その本だったか源泉徴収に関する合憲判決が書いてあり、
「おかしいんじゃね?そりゃあ、「ダメ」って言ったら大変なことだろうけど。」
と思った覚えはあります。

その頃は食いついていくだけのパワーがありませんでしたが
今なら楽しめそうです。
最高裁に喧嘩売るってのは中々。

尚、税理士登録は3月下旬となりそうです。
色々と宜しくお願い致します。
  • みむら
  • 2011/02/14 12:58 PM
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